マックによる「イントラネット」

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↑上記のとおり、1台のマックサーバーで、いわゆる「イントラネット」が稼働しています。 1996.08.18現在の状況はどうか知りませんが、1995年8月ころには、 これはまだまれな事例であったようです。稼働してそろそろ1年が経過するのですが、 皆さんの参考になることもあるかも知れませんので、このネットワークに関して書いておくことにします。


背景

 私の職場、沖縄県立中部病院は、病床数500の一次〜三次救急(要するに風邪から緊急心臓手術まで)全てをカバーする救急病院であるとともに、 ハワイ大学と提携した初期研修病院でもあり、毎年全国から20人程度の研修医を試験で受け入れています。
 非常に忙しい病院であり、連絡業務が頻繁にあると同時に、救急を中心とした非常に多くの症例をかかえており、それらの統計処理などには大変な手間を必要とする状況でした。

 他の多くの医療施設と同様、中部病院でも数年前から医師を中心にマッキントッシュが広まり、 それに伴いあちこちでLocalTalkのネットワークができ始めました。
 当初は部屋の中のネットワークにとどまっていましたが、だんだん部署と部署を結ぶような接続が増えるにつれ、LocaTalkではカバーしきれなくなり、Ethernetの敷設が始まりました。しかしこれも(当然ながら)必要な箇所と箇所を繋ぐ、という方法であり、全館を見渡した計画はありませんでした。
 最近になり、全館にネットワークを張り院内の情報化を進めようという機運が高まり、 私にお鉢が回ってきました。(おとなしくしていたのに.. :))

 それで、当然マックですからAppleTalkを利用したサービスを行うわけですが、 いわゆるグループウェアや、総合病院情報システムなどとの連携をしていく 必要も将来的にあるだろう、ということで、TCP/IPによるサービスを開始する ことにしました。
 県病院ですから、お金がありません。それで、線を張って、既存のマシンを接続していく、ということになります。そして、今のところ、それは全部マックなのです。


最初は何から始める?

 当然ながら、サービスとして最初に稼働すべきはメールでした。 WWWが盛んな昨今でも、 一番利用価値が高いのはメールです。「今すぐ」という緊急性を要しない限り、 メールは; などの面で、非常に価値が高いサービスです。

 それじゃあメールサーバーを探そう、ということで、Apple Internet Mail Serverを入手しました。そこではっ、と気がつく。

ドメイン名がいるじゃないの。
IPアドレスはどうすんの?

 そこで知人に教えてもらう。非常に助かったのは zukkun@opus.or.jp さんがいたことです。彼とはパソコン通信時代からの知己であり、 いろいろと助言をいただきました。
 とはいうものの、彼もビジネスでこの仕事をしていますから 微妙な線を歩くことになります。タダで何でもかんでも教えてもらえるわけではない。 この当時彼から教えてもらったのは、 一言で言えば「 RFC1597を読め」 でした。

 それでRFCを読む。当時は私はIP接続していませんでしたから、InterNICから ftp mailで取り寄せて読みました。
 それで、インターネットに接続されていない場所でのIPの振り方がわかりました。 (注意:現在これは RFC1918 になっています。)

 次はドメイン名の方です。こっちはメーリングリストで、マックで動かせるDNS(Domain Name Server) があることを知りました。ダウンロードし、ドキュメントの記載から知った本、 定番の「DNS and BIND」を読みました。 この世界をやる人なら、この本を読まないわけにはいかないでしょう。


DNSを立ち上げる

 さて、これでとりあえず役者が揃いました。先の「DNS and BIND」を読み、 Hostファイルとreversehostファイルを書きました。 以前は「MIND FAQ」がインターネット上にあったので、それを参考にしながら 書いたのですが、現在は サーバーであるdronf.orgがIP reachableでないようです。 宮崎医科大学に日本語版MIND FAQがあります。
 ルートネームサーバーは(インターネットに接続していないので) とりあえずは関係ないのですが、 一応、namedropper mailing listから流れてくるルートネームサーバーの リストをホストファイルとして記述しました。
 インターネットに接続されていませんので、ドメイン名はJPNICに申請して いません。とりあえず「..@och.okinawa.jp」としました。「OCH(Okinawa Chubu Hospital)」は、 当院がハワイ大学と提携している関係上、外国とのやりとりが頻繁にあるのですが、 その時に相手方で広く認知されている名称です。それに地域ドメインを貼り付けました。

 で、DNSの起動です。当時マックでprimary name serverができるソフトは 「MIND(Macintosh Internet Name Daemon)」と「MacDNS」だけでした。 どちらも試しましたが、MacDNSは当時いまひとつ安定性に欠けていましたので 結局のところMINDを採用しました。

MIND icon MIND 0.73a0

 MINDは「顔のない」ソフトです。何のインターフェースもありません。 メニューにも「Quit」しかない。ただ起動する。
 で、それは静かに起動しているわけです。試しに別のマシンから MacTCP WatcherをつかってDNSを引いたり、pingを打ってみたりすると、 うまくいっています。(pingはDNSとは本質的には関係ありませんが、MacTCP WatcherはIPアドレスだけでなくドメイン名でもpingが打てます。)


メールサーバーを立ち上げる

 さて、ネームサーバーは起動しているらしいので、メールサーバーを 設定します。
 サーバーは「Apple Internet Mail Server(AIMS)」です。以前はMailShare として知られていたソフトです。

AIMS icon Apple Internet Mail Server

 ネームサーバーが上がっていれば、設定は簡単です。詳しくは、 宮崎医科大学に適切な説明 がありますので、そちらを参照してください。
 というか、マックをしばらく使ったことのあるひとで、 個人でインターネット接続をしている人なら、設定はほとんど自明にわかって しまいます。

 それでEudoraを使ってメールサーバーにアクセスしてみると、 ちゃんと自分宛てにメールが出せて、返事がもらえます。 「おお、いけてるやないの!」ということで成功しています。

 現在、院内のメールユーザーが60人程になっています。まだ全館に線が伸びていない時点での話ですから、 線が伸びれば一気に200人規模になりそうです。


Eudoraのセッティング

 メールクライアントは、Eudoraを使用しています。(別になんだって構わないわけですが。)

Eudora iconEudora-J1.3.8.5

 で、院内と院外(インターネット)ではメールサーバーの指定などが異なるために、私は二つの「電子メールボックス」を持っています。面白いことに「電子メール設定」ファイルを、別々のEudoraにDrag&Dropすると、二つのEudoraを開くことができます。それで私は職場では、院内ネットワークにつながったEudoraと、インターネット用のオフライン状態のEudoraを両方起動して、両方の読み書きをしています。

 インターネットにつながれば、両方は統一されます。つまりいままで院内だけでメールを読み書きしていたユーザーは、接続された日から、外へもメールを書けることになります。


WWWサーバーを立ち上げる

 ここまでくると、情報公開メディアが欲しくなります。そうすると当然WWWということになります。

 1995年5月に、母校である 宮崎医科大学 に遊びにいったのですが、その時はじめてNetScapeを使いました。(私はその頃まだ IP接続していなかったのです。)
 その時にローカルなHTMLファイルをNetScapeにDrag&Dropすることでブラウズしながら、テキストエディタでそのHTMLファイルをを編集していく方法を覚えました。 WWWサーバーを立ち上げるには、コンテンツであるHTMLを書く必要があるわけですが、そのための学習が始まった、ということですね。

 ちなみに私がHTMLを書くのに唯一読んだ参考書は、慶応・湘南藤沢キャンパスのサーバーにある「 HTML入門 」だけです。これはコンサイスで非常にいい入門書です。 あとはいろいろやってるうちにわかっていくんですね。

 初めはWWWサーバーなしでやっていました。どうするかというと、 NetScapeがローカルファイルを開いて相互にリンクできることを利用して、 クリエータIDをNetScapeにしたホームページのエイリアスをクライアントに置いておきました。 そうすると、クライアントがそのページをクリックすると、IDとパスワードでサーバーのホームページを起動したことになり、後はサーバーのwwwのフォルダに相当する部分がクライアントにマウントされて、全部「file:///なんとか..」という形で読めるわけです。
 しかそこれではmapとか使えません。やっぱhttpでやろうよ、ということになります。

MacHTTP icon MacHTTP 2.2

 それでMacHTTPをダウンロードしてきます。解凍して、マニュアルを読む。Quickstart guideがあって、 とりあえずこれとこれをHTMLのフォルダに入れて起動しろ、と。で、起動する。

 あら、動いちゃった。

 というわけで、WWWサーバーの起動も簡単でした。なんの設定も必要ありませんでした。

 それでNetScapeでホームページのURLを「http://www.och.okinawa.jp/」にして突ついて見ると、 ちゃんとホームページが見えます。これでWWWのサーバーは起動し(てしまい)ました。 (注意:DNSのホストファイルにCNAMEの登録が必要です。)

 あとはどんどんコンテンツを増やしていきます。お知らせ、ファイルのダウンロード、 各種治療マニュアル、各部署のホームページ、個人のホームページ、講義ノート、 そのようなものがどんどん増えて行きました。


その後は..

 その後はいもづるです。Mapを導入し、どこでもやってる様に カウンタを起動し、 そろそろメーリングリストがいるな、とマックのmajordomo である「macjordomo」 をダウンロードしてきて使っています。

MapServe icon MapServe.cgi  CountWWWebula icon Counter.acgi  Macjordomo icon Macjordomo

 半年ほど前からcgiを手がけています。AppleScript、UserLand Frontierなどを利用しています。フォームから入力を受け、データベースやテキストファイルに保存 するとともに、特定の担当者にメールを投げる仕掛けなどができています。

Frontier icon UserLand Frontier

 現在力を入れているのが、SQLデータベースなどを裏において、NetScapeから検索をかける作業です。

 ということで、インターネットで行われていることの、かなりの部分はマックで しかも比較的簡単に可能とわかりました。パフォーマンススピードの問題とかがあるかも しれませんが、「イントラ」のレベルでは問題なく動いています。

 情報システムの二本の柱は「ネットワーク」と「データベース」と考えています。 とりあえず「ネットワーク」は動いたかな、という感じです。現在はcgiを介した 「データベース」に力を入れているところです。


ニュースサーバーを立ち上げる:1997.08.31

 最近、ニュースサーバーを立ち上げましたので追加しておきます。

 最近までマック用のニュースサーバーソフトはなかったのですが、Peter N Lewis氏が「RumorMill」というnntpサーバーを作りました。名前がいいですね。:)

RumorMil icon RumorMill 1.0

 起動して、セットアップは別ソフトRumorMillSetupで行います。adminのパスワードを決め、ニュースグループを設定するだけで、非常に簡単です。


私のsuggestion

 それで、↑上記のような作業を自分自身でしてきて思うことを幾つか:

やはり、幾らかは勉強が必要

さすがになんの勉強もなしに、というのではこういうことはできないと思います。少なくともTCP/IPの仕組とDNSの仕組位は勉強が必要です。トラブルシューティングの時に、原理を理解していないと手が出ないと思います。
 私がsuggestする本(というか、読んだ本)は; などでしょうか。また、今後インターネット接続をするつもりであれば、これに加えてセキュリティ、およびファイアウォールに関連した本を読む必要があるでしょう。
また、インターネット的世界の住人たちの生態を理解するために、たとえば「たのしいUNIX」や「Life with UNIX」などを読んでおくと良いかも知れません。  しかも実は「読んだだけではなにもわからない」というのがこの世界の実情のようで、やはり「いろいろやってみる」ことは必要のようです。

Read the RFC

関連するRFC には目を通しておく必要があります。これもやはり原理を理解するためです。 RFC はどこででも捜せますね。

自分がインターネットに居ること

あなたの施設がインターネットに接続していなくとも、あなた自身はインターネットに居る必要があります。そこでnetnewsを読み、関連するmailing listに参加し、聞き耳を立て、勉強するのです。それによってわかることが数多くあります。また、自分の経験をその世界に還元することもできるでしょう。

イントラネットに関する講演

 ポータブルマックにデモ用システムを作ってありますので、各地で講演ができます。

イントラネットに関する記事


注記 初版 1996.08.18
改版 1997.08.31
久島昌弘
sheemer@opus.or.jp