「プラダを着た悪魔」
メリル・ストリープ、アン・ハサウェイ他
ジャーナリスト志望の女性が勤務することになった著名ファッション雑誌の編集長アシスタントのライフストーリー。そのボスはプラダを着た、悪魔のようなファッション守護者(ストリープ)。
オープニング、アン・ハサウェイが歯磨きをしているアップに、いきなりストリープのクレジット・タイトルが入るのにまず驚いた。この映画、主役はいったいどっちだ?
結局のところ、ストーリーの主役はハサウェイである。しかしストリープなしには始まらない映画だ。
ストリープは、彼女にしかできない役柄をこなしていると言える。冷徹な悪魔でありファッションとその雑誌の守護者である。その冷徹さを隠すささやくような口調(「That's all..」)とかすかな微笑み。わずかに見せる素顔のヒューマニティ。そのどこにも揺るぎがない。
映画の中で、ファッションとそれに対する一般の無関心に関する一つの意見が、一度だけ彼女の口から語られる。残念ながらそれはあまり印象的な場面ではないのだが。「(ファッションに)無関心なあなたでさえ、我々が作り出した色を着ている」。そこに冷然とした彼女のプライドが見える。
映画のラストシーンは様々なパターンが検討されるという。ハッピーエンドになったりその逆であったり。私は、ストリープが最後に微笑まない終わりもあるだろう、と感じた。それもまた面白いはず。
苛烈なファッション業界の有様の一端が伺える気がする。
また、「ニューヨークが生き返った」という感じがした。この町は再び、ラブストーリーやライフストーリーの場として「恋に落ちて」のようなヒューマンな映画が作れる世界に戻ったのだ。
映画で絵が描かれるパリが、まさしく「ガイジン」からみたパリなのも面白かった。それはガイジンが描いたトウキョウと何ら違いがない。



