October 30, 2006

「光悦と樂道入」樂美術館

樂三代目である道入(ノンコウ)と、彼と親交の深かった本阿弥光悦の作品の展覧であった。開催は樂美術館

本阿弥光悦が好きである。刀の目利きであり研ぎ師であり、日本三隻と呼ばれる能書家であり、江戸に来いという家康の招き(か命令か)をやんわりと断り、それにより洛北の荒れ地、鷹峯に住まうことを命じられた。彼はそこで仕事を続け、その余儀として茶碗を作った。それが型破り、掟破りの自由闊達さである。そこに惹かれる。

光悦はわずか五碗しかない国宝茶碗(うち3つは中国製の天目、残り二つのうちもう一方は利休所持の志野茶碗「卯花墻」)の一つ、「不二山」を作っている。以前それを観に上諏訪のサンリツ服部美術館へ行った。割れを大胆に金継ぎし、それがデザイン意匠にまで昇華している「雪峯」は畠山記念館で観た。「村雲」は、以前に樂美術館で観た。観たい観たいと思いながら果たせないでいた「乙御前(おとごぜ)」を、今回樂美術館で観ることができた。不定形でアバンギャルドな形。高台はほとんど接地していない。意外に小さい。

彼はとにかく、思い切りがいい。思った形のままに作り、それをどうせ思い通りにはならぬ火の気まぐれにまかせ、あがったものの善し悪しを、目利きの感性で取捨選択したのだろう。観ること、作ること、思い切ることなどが絶妙にバランスしている。陶工ではない、現代から見ればプロのアーティストだ。それを彼が意識していたかどうかは知らないが。

そして「雨雲」も観ることができた。これは「村雲」とペアのような茶碗である。これも意外に小さい。
実は「雨雲」には個人的な思い入れがある。考えてみれば、今回ここには雨雲と、乙御前を観に来たようなものだ。その目的は果たされた。ただじっと眺めて来た。

Posted by sheemer at October 30, 2006 12:28 PM