どこかで目にした雷様の絵で「あああれだな」と思い、行くことにした。
会場の出光美術館は入り口付近がリニューアルして雰囲気が違っていて、ちょっと戸惑った。
中に入るとまず目につく俵屋宗達の「風神雷神図屏風」のところに人だかりができていた。やれやれ、他を見てから戻ってくるか、と先を見ると、そこにも「風神雷神図屏風」があった。そしてその向こう側にもあったのだ!
私はこの「風神雷神図屏風」に複数のバージョンがあることを全く知らなかった。まずは国宝となっている建仁寺所蔵、俵屋宗達の作になるもの、そしてほぼ100年後にその屏風を目にし、それを複製するようにして尾形光琳が描いたもの(国立博物館蔵)、さらにまた100年近く下った江戸末、酒井抱一がその光琳の作を見て描いたもの(出光美術館蔵)。これら三つの風神雷神図屏風が一堂に会するのは歴史上4度目、67年ぶりとのことである。
どれもそれぞれに特徴があるのだが、どれが一番好きかと問われれば、私は光琳作のものを選ぶ。若い時代に遊び人だった彼の「遊び」の心根がでているようで、とてもいい感じがするのだ。観ていると自然に笑いがこみあげてきてしまう。
宗達のものは、保存の状態が今ひとつで、輪郭がぼけてしまっている。これをくっきりと描き出したものを見たいと思った。多分我々が今見ているものとはだいぶ感じが違って見えるのではないかと思う。
それ以外にも、彼らの屏風が梅図や秋草、燕子花などの絵柄で分けられて展示されていたが、どれもすばらしいものだった。特に伝光琳作といわれる紅白梅図屏風(MOA美術館の国宝とは違う)の、デザインの遊びなどに、光琳らしい?、雰囲気を観ることができた。また酒井抱一の草花図(そのうち一つは彼が光琳の風神雷神図屏風の裏側に描いた秋草図の下絵に相当するものである。ちなみに風神雷神図屏風の裏に描かれたものは分割されて別の屏風になり、現在国立博物館で展示中とのこと)は、鈴木其一と並んで美しい。ものの形を正しく普通に描くだけでこれほど美しいのだ、と、先の伊藤若冲プライスコレクションの時に感じたことを、ここでも再確認することになった。
ここに3時間近くもいたのではないだろうか。幸せな気分で、ずっとここにいたいと思うくらいだった。
そのせいか?、スタッフに間違えられてしまった。外国人に間違えられるのはよくあるのだが、学芸員と思われたのは初めてのことであった。
お薦めの展覧会である。
Posted by sheemer at September 18, 2006 11:12 PM