辺野古・環境アセスメント方法書を批判する資料集・解説

9月7日、8日と明治大学で開かれた環境アセスメント学会で、参加者有志38名が緊急声明を出しました。下は一段の記事ですが、9月9日の琉球新報紙面です。緊急声明を手に入れたのでWordにはりつけまし。(210kbです)
グリーンピースジャパンも声明を発表しました。(40kb)



次は、沖縄ジュゴン環境アセスメント監視団の8月14日声明です。

2007年8月14日
沖縄ジュゴン環境アセスメント監視団

団長 東恩納 琢磨

辺野古における違法「環境現況調査」の即時中止と、

環境影響評価「方法書」の即時撤回を求める声明

本日、那覇防衛施設局は環境影響評価「方法書」の縦覧を始めました。環境影響評価法の手続の中で、住民が意見を述べる機会は「方法書」と「準備書」への2回です。私たち沖縄ジュごン環境アセスメント監視団は、現在、那覇防衛施設局が「所掌事務の範囲の中で」の「環境現況調査」と称して行っている辺野古での調査に関して、住民が意見を述べる数少ない機会をも奪う環境アセス法違反だから中止するよう、かねてから訴えてきました。

5月21日に照屋寛徳、赤嶺政賢両衆議院議員同席のもとで、那覇防衛施設局・佐藤勉局長と交渉をもちました。「アセス法違反ではないか?」という追及に、局長はメモを次のように読み上げました。

――本来ならば、環境影響評価法に則った手続きで粛々と進めたいが、まだ、沖縄県あるいは名護市との間で現在の政府案の形状はともかく、位置については十分合意に達してないところでございます。しかしながら、2014年までに代替施設を完成させるという目的で、私どもはできる範囲で、私どもの所掌事務の範囲の中で移設先周辺の環境にかかる様々なデータを収集することが、今後の作業を円滑順調に進める上で必要なことと認識しております。――「本来ならば」と佐藤勉局長は、アセス法違反を自ら認めつつ、「所掌事務の範囲の中で移設先周辺の環境」を調べるとしています。

しかし、環境庁(省)は、方法書の段階での調査について次のように記しています。「既存文献調査を中心に専門家等へのヒアリング、現地概略踏査を加えて、得られた情報を整理することになる」(自然環境のアセスメント技術T・環境庁(省)企画調整局編・H11年9月20日発行・44頁)。那覇防衛施設局が現在行っている総額20億円を超える「環境現況調査」と「現地概略踏査」とを同じ程度の調査といえるでしょうか。現地での調査に入る前に、事前手続きとして「方法書」を導入した(1997年4月11日、衆議院環境委員会の議事録)アセス法に違反しています。那覇防衛施設局は直ちに調査機材を撤収すべきです。

 また今回の「方法書」には、環境調査を行う位置、調査のために設置する機器の詳細図が示されていません。設置する機器の詳細図を那覇防衛施設局が持っていないからでしょうか?

那覇防衛施設局長が、H19年6月8日に沖縄県知事に提出した「公共用財産使用協議における『使用に当たっての配慮事項』について」に添付された工程表と、機器の設置図面は、これからどのような調査を行うかを記した「方法書」に入れるべき情報です。しかし「方法書」には掲載されていません。掲載すると、「環境現況調査」は「方法書」の手続きの後に行うべき内容であることが明白になるからでしょう。

また、「方法書」に記載しなければならない事項として、「対象飛行場設置事業に係る飛行場の使用を予定する航空機の種類」が防衛庁(省)内閣府令(H10年6月12日)第2条4項に定められています。縦覧された「方法書」には「航空機の種類」は記されていません。すなわち法律の要件を満たしていません。どのような騒音被害が発生するのか、これでは予測のしようもありません。たびたび報道される危険なオスプレイの配備を隠す為ではないか、と疑いを持ちます。

以上から那覇防衛施設局に対して次の声明を発表します。

1.違法な「環境現況調査」を即時中止すること。

2.事業内容や、調査地点が明示されていない「方法書」を即時撤回  すること。

3.県民の75%以上が反対している辺野古海上基地計画を白紙撤回  すること。

この声明の理解を深くするために、環境アセス方法書関連の資料をまとめました。

1・「方法書」の抜粋

解説 ・300ページあまりの方法書であるが、「対象事業の目的及び内容」の記述はわずか7頁、「対象事業が実施されるべき区域」の記述は1頁です。軍用機の機種、飛行ルート、回数、時間帯など航空機騒音を予測する基本情報は示されていません。また兵舎などを移すために陸上部の環境改変も生じるが工事の実施区域が示されておりません。

・また、サンゴ、ジュゴン、海草藻類などの調査方法も明示されておりません。・「評価手法の選定」にいたっては、わずか3分の1頁です。しかも防衛省が飛行場を作る場合の内閣府令11条の条文を書き写したに過ぎません。

・300ページあまりの「方法書」から
★目次

★対象事業の目的及び内容
★対象事業が実施されるべき地域
サンゴ、ジュゴン、海草藻類などの調査方法、
★評価手法の選定
を抜粋しました。
これらから、辺野古に何を作り、運用しようとしているか、理解できる人は一人もいないでしょう。
         「方法書」の抜粋PDFファイルへ(2.2mb)

        「方法書」全文のPDFにはこちらから(80mbあるらしい)

2・4月から(現地で調査機器の設置に入ったのは5月18日から)強行している「環境現況調査」の関係書類

解説

・那覇防衛施設局(沖縄防衛局)は、明らかにすべき情報もなかなか出しません。

・土田武信氏の粘り強い情報開示請求で沖縄県に開示させた文書です。
沖縄県から、那覇防衛施設局(当時)に対する辺野古の海の「使用に当たっての配慮事項」と那覇防衛施設局から沖縄県に出された

・パッシブソナー(ジュゴンの声を記録するためらしい)
・水中ビデオカメラ(ジュゴンの姿を撮影するためらしい)
などの姿図です。

・これらの文書や、姿図こそ方法書で「環境現況調査」の詳細として記載する必要がある文書です。

・方法書に示して、住民の意見、関係者の意見、沖縄県知事の意見を聞き、環境調査の手法を確定して調査に着手すべきである。なのに、順序を逆にして、「環境現況調査」に着手した
から、「方法書」に記載できなくなったのです。
        「環境現況調査」の日本政府計画PDFファイルへ( 0.15mb)

3・防衛省が行う・・飛行場その他の施設の設置・・内閣府令

解説 ・防衛省が飛行場を作る場合の、環境影響評価の手法や手続きが、アセス法の下で政令として定められています。・・防衛省、飛行場、内閣府令・・で検索すると、その政令が読めます。参考にして欲しい条文をPDFファイルにしました。特に注目して欲しい箇所を鉛筆で囲いました。

・第2条(方法書)
の1項四号で、「飛行場の使用を予定する航空機の種類」を記載しなければならない、とされていますが、
「方法書」には、「米軍回転翼機及び短距離で離発着できる航空機」と記されていて、騒音などの予測は不可能になっています。この「短距離で離発着できる航空機」って何なのかは、このサイトの辺野古、高江を結ぶキーワードはオスプレイの項オスプレイ配備を隠す日本政府をお読み下さい。

・第11条(評価の手法)
今回の方法書の「評価手法の選定」の記述はこの条令の文章を丸ごと書き写したものです。サンゴ礁の海、ジュゴンの棲む海、何よりも人が住んでいる地域で、この条文を書き写しただけで「評価手法の選定」が出来るでしょうか。
      内閣府令の抜粋PDFファイルへ(0.7mb)

4・シュワブ沖調査結果報告書  平成9年11月 普天間飛行場対策本部
解説 ・那覇防衛施設局は環境アセス法が施行された平成9年6月以前に5月〜10月に駆け込み調査をしました。

 W 調査項目・では下記の項目の調が完了しています。
  1 珊瑚・海藻草類分布調査
  2 漁業・運行空域等調査
  3 地形測量・地質調査
  4 現地現況調査
       風向風速、波浪、潮流、大気質、水質、低質、
       騒音、振動、海生生物、陸生生物、景観、
       野外レクリエーション
つまり「方法書」作成に当たっての基礎的材料は、十分に事業者たる沖縄防衛局は持っているのです。いま、新たに環境現況調査をする必要はありません。方法書を作るにあたってどのような調査を求めているかは次の「5・自然環境のアセスメント技術(I)・平成9年9月・環境庁」の抜粋資料をお読み下さい。

・また報告書の「4−6 騒音調査」の項目では、
 普天間基地で使用しているヘリコプターの機種、
    AH-1
    UH-1
    CH-46
    CH-53・・・2004年8月13日、沖縄国際大学に墜落した機種
 と、標準飛行経路、飛行回数も記されていますが、「方法書」には何ら記載がありま せん。

        1997年シュワブ調査報告書PDFファイルへ(1.5mb)
5・自然環境のアセスメント技術(I)・平成9年9月・環境庁 編集からの抜粋
解説 ・1999年6月にアセス法が施行されました。施行から3ヶ月後に出された解説書です。特に、スコーピング(絞込み)、すなわち「方法書」の段階で、どのような調査の程度を求めているかが記されています。抜粋の関係部分を四角で囲いました。

・ 既存文献調査を中心に専門家等へのヒアリング、現地概略踏査を加えて、得られた情報を整理することになる。(44頁)



        「アセスメント技術(T)」の抜粋PDFファイルへ(1mb)
6・有性生殖を利用したサンゴの育苗生産及び移植技術・・藤原秀一論文
解説
今回の「違法な」「環境現況調査」を行っている「いであ株式会社」・藤原秀一さんの『国立公園No.655/JULY.2007』所収の論文です。
サンゴが産卵し、着床具に幼生が着床して成長する・・そして生長したサンゴを海底に固定してサンゴを増やす・・そのような研究論文です。

着床具の設置地点を選ぶ条件を次のように書いています。

@海流:幼生が寄り付き、滞留しやすい流れがあること
A波浪:着床具が台風時の波浪により激しく動揺しないこと
B水深:サンゴが旺盛に繁茂する水深であること
C低質:波浪により低質が巻き上げられないこと。漂砂による影響をうけないこと
D水質:赤土の流入がないこと

「いであ株式会社」は、今回のサンゴの産卵についての調査を請け負っている会社です。藤原さんが記した条件を守っているか注目しましょう。
有性生殖を利用したサンゴの育苗生産及び移植技術PDFファイルへ(約1mb)
資料の追加を予定しています

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